必然と偶然

登山道の入口付近までくると、すっかり雨は上がっていた。　引き返したことに少しばかりの後悔はあったものの、振り返って山頂を望むれば、やはり厚い雲に覆い隠されて、後悔の念も少しはいやされた。
次第に家が増えていく住宅街をしばらく歩くと、つい数時間まえに下車した三つ峠駅についた。　以前は活況を呈したであろう、土産店も今は閉鎖されている。　最近のノスタルジックな昭和ブームからすると、かえって今の時代の象徴にも見えた。
改札に入ったそこも、駅前の風景と相まって、どこか懐かしい。
時刻表の一部も手描きで修正され、そこもなんだが良い・・・あえてそうしているのであれば、かなりの「演出」などと、勝手に想像してしまった。　　そう思ったのも、最近の同鉄道会社の演出路線が「昭和」をイメージしていることは、各所で目に触れて、理解できる。
「どこか、懐かしい・・・」は、時間の流れをゆるやかにして、やさしく、心を解きほぐしてくれるキーワードとなる・・・
 
つづく・・・